教材研究 高校数学

自分の数学観を高める

極限9 ネピア数周辺

ネピア数の証明をまずまとめておこう。実数より自然数が扱いやすいため、自然数の形では不等式を作っていく。この扱いやすい数に変えていく発想は重要である。ここでは自然数の場合の極限値を既知として扱っている。

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下の画像ではテイラー展開に近い式の形を証明し、やや複雑な極限値を求めている。以前示したように、指数関数の発散は整関数より早いという事実が明らかになる。

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対数関数と整関数を比較すると整関数のほうが早い。その事実を証明するために対数関数を指数関数の形に定義より変形すると計算がしやすい。対数より指数の形の方が行いやすいことは鉄則である。

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極限8 nを限りなく大きく(小さく)したときの極限

根号の中に負の数が現れた時は根号を外す際に注意が必要であることを意識することができる問題である。

重要な部分は数学Ⅰの絶対値と根号の関係である。が、文字によって符号が意識しにくいところにこの問題の難しさがあるように思う。

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下のような極限が収束するような問題では直感的に置き換えができるものがある。そのようなものをまとめておくと検算が楽になる。

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極限7 自然数の逆数関連

自然数の逆数の和は正の無限大に発散することが知られている。1/2が無限個作ることができることが証明の肝である。結局ははさみうち、極限は兎にも角にもはさみうちである。

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では次のような極限はどうなるのかを考えよう。

最初の不等式が与えられると成り立つことがわかるが、経験が不足しているとなぜその不等式が登場するかの合理的な理由が掴めない。

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そのため、関数の面積として比較すると以下のように直接的に不等式の形が現れる理由がわかる。困ったときには面積で比較することを定石の一つとしておきたい。

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極限6 バーゼル問題とその周辺

自然数の2乗の逆数の和について考察する。n+1から2nまでの和は0に収束する。個人的にはこの事実が中々受け入れ難い。

証明としては、はさみうちの原理とグラフを考えて部分分数分解どちらも綺麗な解法だと思う。

グラフの形からシグマの和を挟む解き方は色々なところで活躍するため、色々な問題で考えてみると幅が広がる。

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実際のバーゼル問題が収束することを既知とすると以下のように極限値を予想することができていく。

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では、実際のバーゼル問題を考えてみよう。sin@<@<tan@の比較はよく使うため自然に出てくるように思う。

あとは自然数の2乗の逆数の和の問題で三角関数を考える発想に自然な解法を見出せるかが一つ重要である。

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極限5 漸化式とグラフの利用

漸化式が与えられた数列がどこに収束するかをグラフから予想する解法である。結局、特性方程式の解が極限値になるため、極限値を得るだけなら非常に簡単な問題である。しかし、実際に示していく過程でははさみうちの原理を用いて証明していくため、最初は難問か具体的な例を見ることで論理の流れを確認しておきたい。

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グラフ的な考えも重要である。背景にあるのは、単調減少かる下に有界という上限があれば収束することである。

しかし、この事実は高校の課程外である。

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極限4 指数関数と整関数の収束する速度

2つの極限の速度を比較する問題である。2つの問題の証明方法が違う理由を考えてみると面白いかもしれません。

指数関数は二項定理から整関数の形に変形し比較することができることが証明の基本線である。しかし、2^n/n!では分子分母の積の数が等しいため、数列の漸化式を作ることができるのである。

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自分の第一解法は下のような考え方である。具体例から解法が出ることがより自然な感じがある。

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