教材研究 高校数学

自分の数学観を高める

わからないがわからない

  初学者が数学に取り組む時に誤った概念を形成し、教材を理解できないということはよくある。その際に、わからないならまず覚えなさいという指導は指導者の敗北である。しかし、指導者が丁寧に教えたところで、暖簾に腕押し。学習者は余計に疑問点が増え、「なぜわからないのだろうか」こちらはこんなに言葉を尽くしているのにという気持ちになってしまうこともしばしばである。しかし、言葉を尽くしたというのは指導力がないことを表しているのではないか。正しい言葉で伝えればわかるのであれば、皆全ての学習者は数学を理解することは容易いのである。指導者としては、まず、学習者が誤った概念を形成しているということを学習者自身に痛感させなければならない。学習者が自分は誤った概念を抱いてしまっているという状況に気付き、自分は間違っているということに気づかないと概念を正そうとはならない。しかも、概念が間違っていることに気付くということは、ただ単に問題に不正解したという次元の低い状況ではなく、今の概念では数学の理論が矛盾してしまうということを感じる必要性がある。この状況に立って始めて、誤りを訂正しようという気になるのである。

  そのため、指導者に必要な準備は、どのような誤った概念を形成しやすいかと、その誤った概念に気付くためにはどのような仕掛けが必要かこの二点が必要になるのである。ただ、誤った概念に気付くために、数学を用いて確認をするということは、学習者にとってはその確認の作業で一杯いっぱいになってしまい、誤っていることに気付く時には、最初の間違いに気が回らないということも往々にある。そのような闘いの中で、徐々に自分で誤った概念を修正スル力をつけさせるのである