教材研究 高校数学

自分の数学観を高める

問題の解法ではなく、解き方を教える。

数学を教える際に、問題の解法を教えたいと思っている人は少ないと思う。問題とその解法を通して、数学の問題の解決方法や考え方を身につけてほしいという思いを多かれ少なかれ持っているはずである。しかし、授業の受け手は、問題には解法があり、その解法を思い出せるかが、問題を解くことに重要であるという誤った認識を持いるので無いかという懸念がある。

  確かに、ポリヤの問題解決の方法として、似たような問題を考えるというものがある。それは、解法を思い出すことと同じだという見方も出るのでは無いかと思う。しかし、私は、問題の条件を整理する、具体例で考える、図を描くという試行錯誤の段階を経て、過去の経験を想起するという流れが自然なのでは無いかと思う。そのためには、やはり、問題に当たる際に、自分で条件を整理し、身についている数学的知識がどのように繋がっているかを想起させる工夫が授業者には求められる。授業者が問題の例題を解いて見せて、その類題を学習者が解くだけでは、問題の解法を覚えることが学習者のやることだという間違った認識を与える。